心がぽっきり折れた人へ!会社をやめたわたしを少し救ってくれた本を紹介したい!
こんにちは。村上とうふです。
わたしは読書が好き。読書が好きでした。
読むのはもっぱら小説で、特に現代作家さんが好きでした。小・中学時代はあさのあつこさん、森絵都さん、乙一さんとか。高校では村上春樹さん、村上龍さん、江國香織さん、角田光代さん。あと高校後半には夏目漱石にはまってました。
それが、大学時代には一転、本を読むのが苦痛になっていました。東大に入って、「勉強が得意」とは言えなくなってしまうのと同じように、哲学書や純文学含めわたしの知らない本の世界をたくさん知っている友人たちを前にして、わたしは気後れして、「趣味は読書です」と言えなくなって、そうするうち、ほんとうに本を読まなくなってしまった。(今思えば、そんなこと気にしなくていいじゃん!ってことだけれどねえ。)
あと、勉強に集中するために受験期に「断本」していたその結果、国語の長文読解問題を解くときのノリでしか文章を読めなくなってて、読む速度がガタ落ちしていた、っていうのもあり。。。
とにかく、好きだったはずの読書が、できなくなって早6年くらい?たっていたのです。
そして今年4月に自律神経失調症になりました。整体の先生からは、まずは「とにかく休むこと!!」と言われ、最初は素直に休めなかったりしつつ、何週間かして、ようやく泥のように眠ってぼーっとして過ごすことができるようになってきた。そろそろ次のステップに行きたいーと思っていたところに、先生から
「自分の好きなことをしてみて!村上さんは、何をしてるときリラックスできる?」
って聞かれて、なーんにも思い浮かばなかったけど、でもそのときなんとなく、本は読みたいなあと思ったのです。
前置きが長くなりましたが、ちょうどそのとき手にとったのが、宮下奈都さんのエッセー集、『はじめからその話をすればよかった』。
宮下奈都さんといえば、小説『羊と鋼の森』が本屋大賞に選ばれてその当時(今もだけど)その『羊と鋼の森』はどの本屋さんに行っても、オススメとかランキングのコーナーにたくさん積まれてたのと、本屋大賞受賞のニュースでテレビに映っていた宮下さんご本人の雰囲気が、なんかいいなあと思っていたのとで、ちょっと気になっていた。
とはいえ、長文に耐えられくなって6年のわたしが、いきなりこんなに分厚い小説、読めないかもしれない。。。
そんなとき、本屋さんの入口付近に、文庫本『はじめからその話をすればよかった』が置かれているのが目に留まって、そういえば、本は読めてないけど、ボーッとスマホでブログを読みながら時間を無為に過ごすことはずっとできていたなあと思い出した。それで、ブログに近い感覚で、エッセイから始めてみたら、イケるんじゃない?と思って、手にとったのでした。エッセーなら1つ1つの文量は多くないし、気まぐれに読み進められるし、それにハードカバーなら読めなかったとき後悔するけど、文庫本なら、もしもし読めなくても数百円だし…!笑
そんな気軽―な気持ちで買ったのだけれども、これがもう、すごくよかった。なぜよかったのかを説明するのは難しいのだけれども、あえて言うならば、宮下さんの「文体」なのだと思う。宮下さんの正直さが、正直な文体が、気持ちよかった。どんどん読めた。あっという間に、全部読み終わってしまった。
本当に、ひっっさしぶりに、1冊、最後までワクワクしたままに、読むことができた。
もう、とにかく嬉しくて、ですね。
次は、同じく宮下奈都さんの小説、『太陽のパスタ、豆のスープ』を手にとった。
穏やかなタイトルと表紙に惹かれたのと、あとやっぱり文庫本だからという理由で選んだのだけど(笑)、これまた、すごくよかった!!!!
主人公・明日羽(あすわ)は、28歳にして、婚約者に結婚目前で突然の婚約破棄を言い渡されてしまう。
元婚約者・譲さんの「ゆ」の字を口にするだけで泣けてきてしまうから、心配する友人や家族に、何があったのか、話すこともままならない。
本当は、誰かに背中をさすってもらいながら思いっきり泣きたいのに、自分でそれがわかっていなくて、素直になれなくて、不可抗力で泣いてしまってから、「ああ、これを求めてたんだな」ってはじめて気づく。
それでせっかく泣けたとしても、もうスッキリ!吹っ切ったぜ!とは全然行かなくて、泣いてしまったことが照れくさくて恥ずかしくて気まずくて、さりげなく手を差し伸べてくれる相手を突き放してしまったり、家族に、会いたくないなあって思ったり。
もう、ページを手繰るごとに、恥ずかしいくらい「これ、わたしだ!これもわたしだ!!」って思う。超、わかっちゃうの。
落ち込んで、心がポッキリ折れて、そんなとき、誰かの言葉がきっかけで、すぱーんと「前向きになった!よっしゃー!頑張る!」とかさ、物語によくあるパターンじゃないですか。でもさ、こうやって落ち込んでしまう私たちって、そういう単純な生きものじゃないんですよね、残念ながら。うん。
ゆっくりと、時間をかけて、まわりの支えをもらいつつ、自分で自分を少しずつ、一歩ずつ一歩ずつ、(ときには後退したりウジウジしたりしながらも)踏み出していく。そうしていくうちに、じわ、じわと、立ち直っていく。そういう小説です。本当に、リアルです。リアルですごい。正直な物語です。
わたしは『太陽のパスタ、豆のスープ』もあっという間に読み終わりました。
そしてこの2冊を皮切りに、今では、ほかの本も、読めるようになってきたし、なにより、「文章を書きたい」って思って、ブログを作るところまで、来ることができた。
正直な言葉って本当に、よいです。わたしにとっては、それが、何よりのエネルギーなのです。
心がポッキリ折れてしまったとして、文章を読むのが好きとか、正直な言葉っていいよねえとか、そういうところに共感してもらえたら、この2冊、ぜひ、手にとってみてほしい。
おすすめです!!
(追記 そのうち『羊と鋼の森』も読みたい!と思いつつ、図書館に入荷するか、文庫本になるかまできっと読まない気がする。ケチだから。。笑)