とうふのホルモン

ホルモンのままに。主成分はエッセイ。

非科学的なはなし【時々書きたくなるエッセイのようなもの】

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この話をすると大体において「気のせいでしょ」って言われてしまうのだけれど、わたしはよく予知夢を見る。夢の中で見た光景とまったく同じシーンが、あとから現実世界で起こって、「あっ」となるのだ。

ただし、残念なことにそんなに役に立つものではない。

たとえば、小学校の頃、授業中にいつもふざけているタカシがいつものように冗談を言ってみんなで笑っているシーンを夢で見る。そんな夢のことなどほとんど意識から消えてしまった頃、たとえば10日後とかに、教室で、夢で見たのとまったく同じ冗談をタカシが言って、みんなが笑う。わたしも普通に笑った一瞬後くらいに、「あっ」となる。

たとえば、休日、ソファーに腰掛けて小説を読んでいて、ある部分が妙に既視感がある。よくよく考えてみると、「あっ」、そういえば、これまた1ヶ月くらい前に、同じ体制で、同じ服で、本を開いて、そしてこの部分と一言一句違わぬものを、夢の中で読んでいた、とか。

そんな感じで、ほんとうに日常の些細なシーンに限って、自分の目で見た映像をそのまま録画したものを先回りして見ているかのように夢で時々見るのだ。テストのヤマハリとか、危険回避とか、そういう実用的なものは今のところ1度も見たことがない。だからこそ、「気のせいでしょ」って言われるし、配偶者の吉田くんには「またそんなこと言ってる」と呆れられてしまうから悔しい。この話を読んだあなたは、はたして信じる気になっただろうか?それとも、「気のせいでしょ」って思っただろうか。

 

わたしは、自分を基本的にはロジカルで現実的な人間だと自負している。そして、だからこそ、こういう非科学的な目撃談とか体験談を、真っ向から反対はしない、というスタンスを取っているつもりである。野菜に含まれる成分が未だすべては解明されていないとか、細胞や遺伝の仕組みについてまだまだわからないことがあるとかいったように、科学にはまだ捉えきれない現実というのが世界にはたっぷり溢れているはずだからだ。

 

人からこういう話を聞く機会はあまり多くないし、おとなになればなるほど聞かなくなっていく。あるとしたら怪談話とか?これも、おもしろおかしく創作する人もいるだろうから、どれくらいの人が自分が見た真実として語っているかはわからないし、わたし自身は霊感ゼロ人間なので、そういう体験はしたことがない。けど、人が語る諸々の中には少なからず真実も含まれているんだろうなと思う。

 

こういうスタンスは小さな頃から変わらない。だからたまに、とても近しくなった人から「実はわたしね…」とこういう話を聞かせてもらえることがある。

 

1つは、所謂ユウレイが見える人。同い年の男の子なんだけれども、彼の弟も同じく「見える人」らしい。彼らが小さいとき、2人で一緒に家の中で長い黒髪の、白いワンピースを着た女の人を見たことがあるらしい(親には見えていなかったらしく、信じてもらえなかったそうだ)。この兄弟は、これ以外にもいろいろ見ているそうなのだが、この話のポイントは、「2人に同じ場所で同じものが見えている」ということ。1人だけだったら、「気のせい」とか妄想とかって言われても反論が難しいけど、ほんとうに2人ともが見ているのだとしたら、確かにそういうものがあるっぽい気がしてワクワク・ゾクゾクする。

 

もう1人は、わたしの幼なじみの女の子。彼女はわたしの昔からの大親友なのだけれども、小学校4年生か5年生か頃、学校からの帰り道に、唐突に、「実はわたし、」とこんな話を聞いたことがある。それは、オーラのようなものが見える、というもの。人の輪郭の周りに、うっすらと白いモヤのようなものが見えるとかで、そのモヤは人によって様子が少し違うらしく、また血のつながっている家族や雰囲気が近い人には似たような形のモヤが見えたらしい。当時、彼女自身のモヤはぼんやり霧のような感じだけれども、わたしやわたしの弟たちの周りには、線のようにはっきりとした濃いモヤが見える、と言われておもしろいなあと思った。

長年の付き合いがある彼女だが、このオーラの話を聞いたのは、このときがはじめてだった。その後、中学生になってから、「そういえばさ」とわたしから、この話をふったとき、彼女は、だんだんと薄く見えなくなってきているんだと言っていた気がする。

もちろん、それくらいの年代の子によくある神秘的な妄想話だっていわれたらそうかもしれない。でもわたしは、そういうこともあるかもしれない、と今でもちょっと思っている。実のところどうだったのか、今の彼女に聞いてみたいなあ。

 

「なぜ本を読むべきか」の話をしたときにも書いたけれど、自分の目から見える世界とほかの人から見える世界は、イコールではないとわたしは思っている。だから、彼らの不思議な、ちょっと不思議な語りを、わたしは「そういうこともあるのかもしれない」と思って聞くのが楽しい。

 

ちなみにだからこそ、わたしはユウレイがとても苦手だ。ホラー映画なんて絶対に見れない。だって、ほんとうにそういうものが「ある」かもしれないのだから。そこにいてくれる分には全然構わないのだけれども、どうか、わたしに危害を与えたりびっくりさせたりすることだけはやめてほしい。それは、生きている人間死んでいる人間両方に共通するマナーだと思うので、どうかよろしく頼みたい。

 

※参考

なぜ本を読むべきか?凡人系東大生がわかりやすく整理してみた。【とうふ持論】 - とうふのホルモン