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とうふのホルモン

ホルモンのままに。主成分はエッセイ。

短歌というおもちゃ【時々書きたくなるエッセイのようなもの】

短歌 エッセイのようなもの

エンデの『モモ』の中で、時間泥棒が町を占拠して、大人たちが忙しなく時間節約をしていく中、子どもたちのおもちゃがどんどん高性能になっていくという描写がある。話しかけると返事をしてくれる人形、ラジコンで動く車――もうちょっと時代が進んでいれば、テレビゲームなんて絶対出てきただろうなあ。

そう、大人たちが構ってくれなくなる中、子どもたちはそんな高価でテクニカルなおもちゃを買い与えられるのだ――そんなおもちゃを買ってあげられるのも、一生懸命働く大人たちのおかげ!。

でも、そのとても便利なおもちゃたちは、みんなで大海原に大冒険に出るような即興ごっこ遊びをもたらしてはくれない。人形は機械的に同じ言葉を繰り返すばかりで、楽しいおしゃべりのできる小さなお友達にはなってはくれない。こんなのが、ほしいのでしょう?こういう遊びがしたいのでしょう?そんなふうに先回りして決めつけて、創造の余地を奪ってしまうのだ。

 

そういう意味において、短歌というのはなんてすてきなおもちゃなんだろう!と思う。

そう思ったんだ、とわざわざ書くからには、これまでは、短歌なんてと思っていた。

 

高校生の頃は小説家になりたくて、表現力のトレーニング法なんかを調べているときに、まずは俳句や短歌を書くことを勧めている本がいくつかあった。要するに、短い文で表現できるものから表現していって、それから長いものに挑戦していくほうがいい、ということ。

それから興味を持っていたものの、まず、五と七の音の数。縛りがある分難しそう。さらに、1つ1つがそれだけ短い分、小説のように1つをじっくりではなくて、さくさくとたくさんを作ることが求められそう。そうなってくると、日々いろんなところで題材を拾ってくるためのアンテナ張りが必要だと思うのだけれど、わたしはそういう、日常をいつもと違う視点で見つめていろんな発見をする、みたいなことがあんまり得意じゃなかったから、これにも、うげげ。そんなわけで、なんとなく苦手意識があってあまり積極的には取り組めなかった。

 

再度興味を持ち始めたきっかけは、テレビ番組。芸能人が俳句を読み、その作品をプロの俳人の先生が評価・格付けするというのがある(調べたらMBSの「プレバト」という番組だった)。先生役は夏井いつきさんという方なんだけれども、この人の、辛口評価ながら、その後の手直しが、あまりに鮮やかで見事なのだ。題材や伝えたかったメッセージをできる限り守ったまま、語順や言葉遣いを変えることで、それらが突如、生き生きと浮かび上がってくる。観たことがない方には、ぜひとも観てほしい。毎週木曜夜7時。

 

五、七、五という枠。17音に1つ1つに全く、無駄がない。むしろ、枠があるからこそ広がる世界観。

それで俳句おもしろいなあ、と思っていたところに、ロカルノさんのブログでこんな本を知った。一青窈さんが、手紙(実際は、メールかな?)で俵万智さんから短歌指導を受ける、という本。

 

もともと俵万智さんは好きだった。高校生の頃、課題図書で『愛する源氏物語 (文春文庫)』という、源氏物語に出てくる和歌を、現代風(あるいは万智風!)に訳していくというチャレンジングなエッセイ集!――を読んでから。

 

何はともあれ、万智さんから、五と七の枠の使い方を学ぶなんて、おもしろいに決まっているではないか!

と、Amazonで頼んで読んでみた(こんなとき、「読みたい!」気持ちがしぼまないうちにやってきてくれるので、Amazonのスピード感は本当頼もしくてありがたい)。

 

さて読んで、印象に残ってるのは、以下のこと。

 

・短歌は自由。俳句は季語を1つだけ入れるとかそういうルールがあるけど、短歌は五七五七七の音以外にルールはない。何を歌うも自由。

・短歌は特別主語を書かない限りは、主人公は自分。

・自分の目から見た世界や、思い描く情景をできるだけ具体的に、客観的に切り取る。

・表現が具体的・客観的であればあるほど、その裏にある想いが浮かび上がる。「寂しい」と100回書いても伝わらない、感情の「輪郭」が、読み手にも伝わっていく。

 

このあたりに、あ、短歌って、エッセイに似てるんだなあ!と。

主人公は自分で、何を書くのも自由。なんだけど、この自由ってのが曲者で、ほんとになんでもいいわけじゃなくて、ちゃんと、「自由らしく」のびのび素直に書いている感じが必要で。そのためには、観念的なことばかり書くのではなくて、日常の、具体的な気づきを書くのがよくて。

違いは1つ。短歌は、31音というコートの上で楽しむんだっていうことだけ!(…と、思うのだけれど、どうでしょう?)なんか、こういうちっちゃくてわかりやすいルールがあるところが、なんだかおもちゃみたいですてきだなあ、わくわくするなあと思う次第です。

 

そんなわけで、早速わたしもこのおもちゃで遊んでみました。が、むずかしい!まだまだ伝えたいことがうまいこと収めきれないです。誰か、添削してくれないかなあ。というわけで、いい表現思いついた方は、ぜひとも教えてくださいね。笑

 

アルバイトの日の3首

○6時前 重いヒールこつ、こつと 黙って見ているいつもの朝日

バイトの朝、眠くて眠くてたまらない半開き目に、秋だからか朝日がやさしくて。それでふと、太陽って、誰に褒められるわけでもないのに、いつもいつもちゃあんと登ってきて仕事しているなんて、すごいなあと思って、その地道さに励まされた気がしたんです。うーん、伝わらないなあどうしたものか。

 

下戸だからバイト上がりの一杯は 桃ヨーグルジー百四十円

…お酒弱いです。味は大好きなんだけどな。近頃は特に、体力がないのでお酒を控えています。仕事終わりのビールなんて、最高だなあと思うのに……。そんなわたしの仕事終わりのご褒美は、お気に入りの桃のヨーグルジー。120円の普通のジュースじゃないあたり、ちょっとだけ、贅沢なのです。パイナップル味も好き。

 

○最寄駅つくと微笑むおかえりと ケンタッキーフライドチキン

…夜、赤く灯るKFCの看板、カーネルサンダースの微笑みが「おかえり」に見えて、なんか嬉しかった。一人暮らしだったらなおのこと、嬉しかっただろうなあ。暗がりにぽっと赤い灯りがある感じを追加で入れたい。

 

 

ときどき、短歌もこうして更新していけたらなあと思います。おわり!∠( ˙-˙  )/