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とうふのホルモン

ホルモンのままに。主成分はエッセイ。

焼き梅干しダイエット【時々書きたくなるエッセイのようなもの】

エッセイのようなもの

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先週から「焼き梅干しダイエット」なるものをはじめた。

毎日、いつもの食事に加えて、梅干をフライパンやトースターで焼いたものを食べるだけ。簡単な代物である。「ダイエット」というほどのことでもないかもしれない。

ポイントは梅干しを焼くこと。焼くことで、梅干のなかに、ナントカカントカっていう成分が出てきて、それがダイエットにとても効果的らしい。さらにお手軽なことには、一度焼いたらその成分は消えないので、まとめて焼いてすぐに食べない分は冷蔵庫で保存して置けるらしい。つまり、その都度その都度手を加える必要はなくて、買ってきたら最初にちょっとフライパンに並べて転がすだけでいいのだ。……と、なにかのテレビ番組で言っていたので、早速、実践しているわたしたちである。

そもそも、ちょうどよいタイミングだった。

先日、結婚写真を撮りに行った。主にわたし方の親戚への報告用に。わたしは結婚式というのものには興味がない。莫大なお金と労力を賭して、自分も楽しみつつかつあらゆる関係者各位に気分良く過ごしてもらえるほどの自信もない。とはいえ田舎育ちのわたしには、すでにまわりからあらゆるものを与えられて育ってきている。それに対して何も報いないというのは気持ちいいものではない。だから、折衷案として写真を撮ることにした。

結婚に対してそんなに夢を持っていないとはいえ、どうせ撮るなら出来うる限り綺麗に残したいというオトメゴコロがないわけではない。一生に一度しかおそらく着ることはないであろう、ウェディングドレス。英国王室のキャサリン妃がお召になっていたような、クラシカルな長袖のタイプがいいなあとぼんやり思っていたのだけれど、実際スタジオでレンタルできるものはほとんどすべてが袖の一切ないベアトップタイプ。要は、コストの問題。布の面積が大きければ大きいほど高価になってしまうということだ。

しかし困った。これでは、ぷよぷよを遠に通り越して、ぶよんぶよんな二の腕があらわになってしまう…。(そんな理由でキャサリン妃のマネしたいだなんて思っていました、ゴメンナサイ。)

「撮影の際は、ベールもありますので十分に隠れますよ。それに、中途半端に隠すよりは、思い切って出してしまったほうが逆にほっそりして見えるんですよ」

今から思えば、なんだかムジュンしているように思える営業の女性のこの言葉に、そのときはなるほどそれもそうか、と思ったのだった。

撮影は、別にすごく楽しいものではなかった。そんなもんだね、と思う。

撮影後、すぐにアルバムにするための写真をセレクトする。そこで、愕然とした。

あまり、ウキウキワクワクとダイエットに励んだり、エステに通ったりしなかったのも悪かったかもしれない。いやしかし。

気づいてはいたのだ。もともと肉付きがよかった二の腕・太ももも数年をかけて順調に育っていた。かつては割れていたはずのおなかも、結婚して一緒に住み始めてからだろうか、無駄なお肉が育ち始め、今や余裕でお肉がつまめてしまう…じゃなかった、最早「つかめて」しまうなあとは思っていた。しかしまあ、ぴったりとした服を着るわけでもなし、傍から見る分にはフツウだろう、と思っていた。だいたい行き過ぎたモデル体型志向はよろしくない!……などと、思っていた。

……いやいやいや。傍から見て、十分太っているじゃないか!「そろそろ痩せないとなあと思うんです」と言ったときの、「えー!村上さん細いじゃないですか!全然そんな必要ないですよ!」っていう、あの言葉は、果たしていつから本音から社交辞令へと変わっていたんだろう…。いやそもそもはじめから、そこには本音なんてなかったのかもしれない。ああ、恥ずかしい。

まったく、この頃典型的なビール腹体型になってきた夫を見て笑っている場合ではなかった。わたし(たち)は、ダイエットの必要性を自覚していたのだ。いよいよもって、本気の、危機感を抱いたのだ!

さりとて、運動したほうがいいというのはわかっている。しかし数ヶ月前からすでにわたしたちは、「朝早起きして、ジョギングしようよ」などと言いながら、布団の誘惑に連戦連敗中だ。本格的に食事制限などしようにも、毎日の食事が、殺伐とした東京砂漠を乗り切る唯一のオアシス、そこだけは譲れない。さらにはいつか義兄が贈ってくれたタニタの体重計も、定期的にはかるのは続けているものの、一進一退、一向に変化しない数字に、若干萎えつつもある……。

さてどうしようか。そんなTHE典型的な痩せられない人々なわたしたちの前に、救世主のように現れたのが、「焼き梅干しダイエット」だったというわけ。

まずスーパーで買ってみた梅干しが、わたしの好みドンピシャの酸っぱさ加減でうれしい。甘すぎても酸っぱいだけでもダメだと思うのだけど、とてもちょうどいい梅干しに一発で出会えた。そしていざ焼いてみる。焼くことが何か味に影響するわけでもなく、普通の梅干しと大差ない。安心。

そして何より、食事が大好きなわたしたちの食後に、楽しいルーティンが1つ、加わったのだ――マグカップにあったかい緑茶を沸かして、そこに焼き梅干しを1つぶ、沈める。ほっと一息ついてから、お風呂に入る。これで痩せられるというのだから、最高だ!効果が現れるのを、いまかいまかを待っているところ。

ついさっきも、いそいそとお茶をいれて、梅干しを入れようと冷蔵庫に手をかけたところだった。ふと、思い出したのだ。そういえば、夏、吉田くんが「テレビで見た」と言って、「ブロッコリースプラウトを毎日食べるだけダイエット」に挑戦していたことを。

「そういえばあれって、効果出てなかったよなあ」

「あれなあ。俺だけが食べる分のはずなのにお前が横から食べたりしてたし、最終的にはケチってちょっとずつしか食べさせてくれなかったじゃん。いつの間にか、カイワレダイコンがさりげなく混じってたりして、結局常備してくれなくなったじゃん。効果なかったのは、絶対にそのせいだから!」

そうなのかなあ。そうだったのかなあ~。

 

はたして、信じるものは、救われるのだろうか?まあでも、救われなかったとしても、おいしいこのひと時があれば、それで、いっか。かつて昔、痩せていた父の写真を見て笑っていたこのわたしも、こうして、順調にぷくぷくと、ただのおばさんになっていくのだろうなあ。