とうふのホルモン

ホルモンのままに。主成分はエッセイ。

5月某日【時々書きたくなるエッセイのようなもの】

晴れたら、整体に行く前に、近くの公園に行ってみようと前から思っていた。整体の病院の近くにある、バラの綺麗な公園。ただひらすら眠り、会社の人に出くわさないよう時を選んで寮を出るーーそんな腐りかけの日常にも多少の彩が戻る気がする。

そーろーそーろー、もーどーりーまーすーよー。

先生らの、口調の柔らかさに隠しきれない苛立ちを聞こえていないのか、聞こえているが聞いていないのか、数十人の幼児たちは、それぞれの組の色の、いかにも子供らしい色の布帽子をかぶって、木陰のなだらかな丘の傾斜を、キャーキャー駆け下りたり駆けのぼったりを各々繰り返している。他の子が気づいていない、ちょっと離れたところでより高い丘に登って、上から得意げに他の子を見下ろしている、あの子がわたしだ。

水辺では、まだ保育園に行く前の年の子なのか、芝生で休む父親や母親のそばで、パンツ姿で浅瀬をアッチコッチと赴くまま進んだり、熱心にサンダルで水を掬ったり、噴水の、水の出でくるところにそっと手をかざしたりしている。

 

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広い公園の、整備された小路に沿って一通りのバラをさらって見た。

 

ああいう遊びをしなくなったのは、いつからだろう。そういう遊びをするかわりに、こうして、そんな子らの様子を見て、文章に起こして、「そういう遊びをしなくなったのは、いつからだろう。」などと、考えるようになったのは。日傘をさして、腰掛けるのにちょうどいい高さの石段に座っているようになったのは。

 

ふと、右脇だけがぐっしょりと汗に濡れているのに気がついた。「ほら、お前は少しも心安らげていない」と突きつけられているようで焦り、そしてそんなふうに焦ってしまう自分に心の中で舌打ちをする。