とうふのホルモン

ホルモンのままに。主成分はエッセイ。

可愛くなりたいと思うことについて【時々書きたくなるエッセイのようなもの】

自分のごくごく地味な顔立ちがわりと好きだ。高校時代、漫画好きな友人が「とうふちゃんの似顔絵3秒で描けるよ」と、点2つと緩やかな弧を絶妙な配置で描いて(書いて?)くれていたが、要は、日本人の多くの人が「平凡な顔」といって思い浮かべる顔にわりと近い顔だと思う。比較的小顔なところも好き。ただ、世の中で小顔な女性がよいとされているのは、顔が小さいことそれ自体によさがあるわけではなくて、体全体で見たとき「スタイルがいい」ように見えるとか、あるいはベースである顔が小さい分、その中身であるところの目とか口とかが顔全体に占める比率が大きくなるから、結果として「目が大きい」「色気のある唇」とか、小顔であることが、「結果」そういうものに繋がっているからよしとされるだけだと思う。全てのパーツがあまり主張せず小さくちんまりとまとまっているわたしの顔の場合、小顔であったとしても、例えば証明写真なんかでとるとそのメリットはあまり感じられないのだ(そりゃ、女友達なんかと一緒に写真に映るときには、多少お得かもしれないけど)(あるいは顔についている肉を落とせばいいだけの話なのだけど)。それでも、わたしはそういう自分の顔が嫌いじゃないなと思っている。

 

それが、先日のブログを書いたあと、ふと思った。わたしはいつの間に、自分の顔を「わりと好き」と思うようになっていたんだろう。

 

そのブログにちらっと書いていたのは、こうだ。保育園の頃から小学校の頃にかけて、わたしは自分の顔が嫌いだったということ。クラスで1番可愛い子と自分を比べては、「なんでわたしはあの子として生まれなかったんだろう。なんでわたしはわたしに生まれてきたんだろう」と、心底不思議でならなかったこと。自分が自分に生まれてきたという偶然が、わたしの中身がわたしという容れ物に入っているということを恨んでいたということ。どうせなら、あの子のような容れ物に入って生まれたかったなあと思っていたこと。でも同時に、ぼんやりと、自分が自分であるという事実は「どうしようもないのだ」というのはわかっていたこと。

 

「自分の顔が割と好き」というのが、当たり前になっていて忘れていた。そういう自分が、自分がこういう顔に生まれてきたことを、受け入れてそれなりに愛していけているのは、最初からではなかったと、ブログを書いていて思い出したのだ。

 

いつからそうだったのか、定かではない。それはしかし、セーラームーンとかディズニープリンセスとか、モーニング娘とか、当時わたしの周りの多くの女の子が「可愛い」と言っていたものものが、実は自分はそんなに好きではないって気づいたときと重なっていると思う。いやそこも、好きじゃないと「気づいた」のか、それとも確かに好きだったけれど「好きではなくなった」のか、定かではないのだけれど。

とにかく、周りの人が言うからわたしも「可愛い」と思っていた。でも、それらが本当に自分の心を喜ばせていたかというと、別にそうでもないということに、ある段階から徐々に気づきはじめていったと思う。

 

それ以来、わたしの中には2つの基準がある。世間一般的に、多数の人から「可愛い」と言われるだろうものという基準と、わたし自身が「可愛い!」って思うもの。あるいは「可愛い」以外でも。世間一般の「かっこいい」人と、自分のタイプの男の子って言ったら1番わかりやすいかな。あとは、世間一般に、多数の人が「すごい」って言うものと、わたし自身が、心の奥底から、「すごい」「この方向にわたしは向かいたい」と思えるもの。

 

こういう感覚の分化は、「可愛い」がまず最初に起きた(「かっこいい」は、最初っから同化しておらず分かれてた気がする)。それから、今は「すごい」っていう感覚を、自分の感覚を認識して分化させるためのプロセスの途上にあると思う。

 

周りの意見をとっぱらって、自分自身がどう思うのか?それって実は、自分でもなかなかわからない、それを知るっていうのは、かなり難しい作業なのだ(あるいは、それがすぐわかるっていうのは1つ才能なのだ)。

 

それでもわたしは、誰かが「可愛い」「かっこいい」「すごい」と言うから、「わたしもそう思う」のではなくて、わたしはあえて、「わたしはどう感じるの?」と、自身に問いながら生きていきたい。自分の意識以前に、自分の心が、体が、勝手に動き出してしまうものは何なのか。ひまわりが太陽の方を見てしまうみたいに、自分の体液なのか細胞なのかホルモンなのか、それが否応なしに反応して突き動かしてくる、そういうものは、どんなものなのか。

そういう「可愛い」「かっこいい」「すごい」ものを追いかけて生きていきたいのだ。

 

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※途中で出てきたブログ記事はこちら

chi-cooks-everyday.hatenablog.com